2013年の国際成人力調査をご存じでしょうか?平均点で見ると、読解能力、数的思考力、IT活用能力の何れでも日本がトップなのです。調査結果は読解能力、数的思考を得点によってレベル1未満~レベル5までの6段階に、IT活用能力はレベル1未満~レベル3の4段階に分けて成人割合もだしています。各レベル毎の成人割合を見ると日本の特徴が際立ってきます。読解能力がレベル2以上となる成人割合は日本93.9%、ドイツ81.0%、米国78.3%。数的思考力がレベル2以上となる成人割合は日本90.6%、ドイツ80.1%、米国67.1%。IT活用能力がレベル2以上となる成人割合は日本34.6%、ドイツ36.0%、米国31.1%。
日本では読解能力、数的思考力が一様に高い水準にあり、レベル1やレベル1未満の割合が極端に少ないのです。
このことが日本においてPTA役員や自治会役員を持ち回りやくじ引きで決めることを可能にしています。紙と鉛筆で業務を行う限りにおいては、日本人ならほぼ誰でも業務を遂行できるだけの事務能力を持ち合わせているわけです。全員に一様に業務を割り振り、一人あたりの負担を減らすと共に、全員が公平に負担する仕組みを作ってきました。日本以外において、同じような役員の決め方をしたら、業務遂行能力を持たない役員が発生する確率が高く、成り立たないでしょう。
対して、IT活用能力においては、日本では成人の34.6%だけが高い能力を有しており、日本の平均値を世界でもトップレベルに引き上げています。
このことがPTA役員や町内会や自治会におけるIT活用の難問になります。ITを活用するなら、成人の35%しか業務を遂行できません。従来のように一様に全員が業務を負担することで公平性を保つ仕組みは維持できません。特定の人だけに業務が集中する事を容認し推奨するような価値観の変革が必要になるのです。