新入社員と退職と労働契約

稲葉食品の一件以来、退職RTAが流行っているらしい。変化の早い現代において、決断が早いことは良い事でもある。「情報収集して勤務初日を迎える前に判断しなよ。」と思わなくもないけど。

一連の記事で何が一番不味いかって、今の中高年には採用活動において不法行為に及んでいると可能性に対する認識が薄いようだ。そしてそこには気がつかないまま、「若者は我慢が足りない」とか平気で発言している。

労働契約を結ぶときにあらためて説明していない限り、募集要項や面接時に示した労働条件が契約として有効になる。

例えば有りそうな話しとして、採用面接で「配属は希望を考慮して決定します」と言っておきながら、労働契約時点では希望に添えなかった事を説明せず、勤務初日に希望と異なる配属を明かした場合、法定で争ったら企業側が負ける可能性が高い。稲葉食品で問題となった話しも、採用募集時には総合職の初任給を提示しておきながら、入社してみたら一般職採用で報酬も少なくなっていたと言う。採用面接時の約束事を反故にしても刑事上の罰則なんかは無いが、民事の損害賠償ぐらいは取られる可能性があるのだ。

今の若者は、企業が不法行為をおこなっていることを認識しているし、不幸行為を我慢して受け入れる必要のない社会環境にある。

高校入試と不登校と内申点

Yahoo! News:高校不合格のゆたぼん 父らは内申点「時代遅れ」指摘に「よいことは1つもない」「否定するのはおかしい」と賛否

ゆたぽんの高校入試の件で話題に上がっていたので、県立高校の入試時の内申点の取扱について確認してみた。

沖縄県立高校の場合には試験成績と内申点の比重は5:5。特に音楽、美術、保健体育、技術・家庭が重視され、所謂5教科よりも配点が5割増しになる。つまるところ不登校で内申点が低くなっている場合には、公立高校の受験は著しく不利になる。試験で50点程度とれば合格できる高校でも、内申点が最低レベルに低い場合には、試験で100点を取らないと合格できないという扱いになるようだ。

なるほど、公立高校に受かるわけが無い。流石に沖縄県の選考方法には問題があるように思う。不登校児の公的扱いに対する問題提起のために、敢えて公立高校を受けて見せたのかとまで考えてしまう。

この問題は県によって大きく異なる。例えば東京都の場合には試験成績と内申点の比重は7:3。特に音楽、美術、保健体育、技術・家庭が重視され、所謂5教科よりも配点が二倍になる。試験で50点程度とれば合格できる高校でも、内申点が最低レベルに低い場合には、試験で80点を取れば合格出来る事になる。沖縄よりはマシだが、内申点の低さが大きく影響することに変わりは無い。

私の住む茨城県の場合にはちょっと分かりにくい。概ね次の様になる。募集定員が100名の場合には、試験成績が80位以上で、内申点が100位以上をA群として合格にする。残りをB群枠とし、B群の7割程度を試験成績重視で内申点によらず合格、B群の3割を試験成績によらず内申点重視で合格とする。B群枠のうち成績重視と内申点重視の比率は高校の裁量となる。結果的に試験成績と内申点の比重は7:3程度になるが、仮に内申点が最低レベルでも、試験成績が上位に入れば合格を狙えるような制度になっている。

ちなみに学校に一切行かなければ内申書上は評価不能で斜線となる。内申書が評価不能となっている場合には、不利な扱いをしないように通達がなされているので、多くの高校では試験成績を重視して評価してもらえる。中途半端に通学してしまうと評定に1がついてしまい、まったく通学しなかった場合よりも不利になる。公立高校入試を考えるなら、中学校には中途半端に通学してはならないのは常識であるらしい。

ゆたぽんは中学校に中途半端に通学してしまっており、この点でも不利だったことになる。