最低限必要な業務用パソコンのスペックって

低スペックPCを使わせる事の損失・・・
人権を満たす最低スペックのパソコンとか、Twitterで話題になっているようなので、補足説明ておく。

・事務職・・・15万円前後

CPU:Intel i5 or i3(4コア)
メモリ:8GB(4GB×2枚)
ストレージ:SSD 128GB
モニタ:24インチ(設置スペースがあるならデュアルモニター)

事務職でこれが最低スペックな理由は、これ以上スペックを落とすと価格差以上に性能が低下してしまうため。例えばCPUをCeleronに落とすと数千円安くなるが、性能は半分以下になる。モニターも20インチにすれば数千円安くなるが、A4資料を画面上で閲覧することすら困難になる。
メモリが8GBなのには二つの理由がある。
一つ目はデュアルチャンネルを有効にするため。同サイズのメモリを2枚さすとデュアルチャンネルが有効になってメモリアクセス速度が2倍になる。同一メモリサイズでもデュアルチャンネルが有効か否かで実行速度が30%前後異なってくる。2GB×2枚でもデュアルチャンネルは有効になるが、2GBのメモリカードはほとんど製造されておらず流通していない。メーカーによっては16GB(8GB×2枚)以上にしないとデュアルチャンネルが有効にならない場合もある。この場合には16GBにしたほうが良い。
二つ目はメモリスワップが発生した場合にSSDの寿命が短くなってしまうこと。最近のアプリケーションはメモリをたくさん使って早く動かす設計になっていることが多い。そのためWEBブラウザだけでも1GB程度のメモリを使ってしまうことは珍しくない。SSDの欠点は書込み可能回数に制限があり、頻繁に書込みを行うと寿命が短くなることにある。メモリが不足してメモリスワップが発生し、SSDへの書き込み回数が増えると、SSDがより早く寿命を迎えることになる。SSDの容量を増やせば書込み可能回数も増やせるが、SSDよりメモリのほうが安い。
SSDが128GBとかなり小さいのは、日常的に使用するデータはファイルサーバに保存していると考えているため。128GBでも事務作業で使用するようなアプリケーションのインストールや、一時的な作業ファイルを置くのに、困ることは少ないと思う。128GBより小さくすること、Windows Updateのための作業領域が不足するなどの問題に直面する。

・技術職・・・30万円前後

CPU:Intel i5 又は i7
メモリ:16~32GB
ストレージ:SSD 256GB+HDD 数TB
モニタ:27インチ(設置スペースがあるならデュアルモニター、2台目は24インチでも可)

最低メモリが16GBに増えている。エンジニアは複数のツールを同時に起動して作業する機会がどうしても増える。統合開発環境などは、メモリを多く使う事が多い。WEBブラウザに、Officeに、メールに、統合開発環境に、ビジネス用チャットに・・・と立ち上げていくと到底8GBのメモリ消費では収まらない。最低でも16GB必要となる。

できれば32GBほしい。32GBあると仮想OSをストレスなく利用できる。仮想OSを使うと、テスト用のOSを作業前に保存していた状態に数十秒で戻すことが出来る。そのためインストールのテストや、環境を壊す恐れのあるようなテストが非常に捗る。仮想OSを使えないと、たびたび半日かけてOSを戻す羽目になるので、かなり大変なのだ。
またメインで使用している環境に共存できないソフトウェアを使ってテストしなければならない場合も便利である。特定バージョンのOSでしな再現しない問題や、古いバージョンのOfficeでしか再現しない問題などをテストするために、別途パソコンを用意してゼロからインストールしていては時間がかかりすぎるのだ。

CPUは早いに越したことはないですが、i7以上のCPUや、高速なグラフィックスカードは機械学習でもするのでない限りは必要ないです。

・デザイン職・・・50万円前後

CPU:Intel i5 又は i7
メモリ:16~32GB
ストレージ:SSD 256GB(容量不足時にはHDDを追加)
GPU:5万円前後
モニタ:27インチ(カラーマネジメント対応)

CADやCG、動画を扱うなら上記の技術職向けPCに加えて、5万円程度のGPUが必要になります。
そして何より重要なのがモニターです。安物のモニターだと微妙な色の差を視認できなかったり、モニター毎の発色の差を微調整する機能が不足していて、色校正に手間どってトラブルの原因になります。カラーマネジメント機能のついたモニターは、一般的な事務用モニターの価格より2~3倍ほど高いです。27インチモニターだと20万円ちかい金額となります。
意識せずにマックを使っているデザイナーも少なくないですが、デザイン職にマックが支持されてきた理由もここにあります。マックのモニターは最初から同じ発色になりように微調整されて販売されており、カラーマネジメントの云々を意識する必要がないのです。カラーマネジメント機能のついたモニターを買うと、結果的にマックと変わらない値段になってしまいます。もしデザイナーがWindowsではなくてマックで仕事をしたいというなら、素直にマックを買ってあげたほうが安いです。

でも、事務用に限るならパソコンを使う事自体を止めてしまう手もあります。「事務用に限ってはVDIの方が良いかもよ?」に続きます。

拠点内ネットワークについて思案中

今現在、敷地内で50mほど離れた建屋にネットをつなぐのに、NTTの光回線網で繋げるというすっごく回りくどいことを実施してる。目の前なのだから線を引けば・・・と思うけど、初期投資に30万円はかかるし断線などに迅速に対応できるとか言うと。かといって無線LANでも20万程度かかるし、荒天時の障害リスクを缶考えると・・・。と考えると、NTTの光回線網経由のほうが品質と価格のバランスで勝ってしまっている。

コストを下げる良い手はないかなと思索中、TP-LINKのCPE510という製品に行き当たった。

TP-LINK CPE510

リンク速度300Mbps、5Ghz帯、最長距離2.5Km、実売1台12,000円程度。スペック的にも、価格的にも優れる。

拠点間接続専用に設計された機器で、前方45度程度の範囲への指向性アンテナを最初から内蔵している。逆に無指向性アンテナを持たない。IEEE802.11互換モードだと2.5Km程度の距離で80%まで速度の低下が起こるが、非互換の独自プロトコルを使うと2.5Kmでのスループット低下は殆ど無いとする。日本仕様だと電波法の関連で2.5Km迄だが、米国仕様だと20Km以上でも使えるという優れもの。

Buffaloで指向性アンテナと無線LANを別々に求めると1台で10万円以上、2点間で20万円以上の初期投資となることを考えると驚くほど安い。この価格なら予備機を追加で購入していても十分にペイする。

不安点は耐久性。TP-LINK製品を過去に使っていましたが、見事に5年程度で壊れました。同価格帯で代替となる製品が皆無なので、故障したり廃盤になったりしたときの備えが必要か。