戸籍廃止の議論に思うところ

戸籍を無くすのなんのと話題になっているが、なぜこうも本質からずれた話しになるのだろう。

根本的な勘違いとして出生や結婚、死亡などの履歴を管理していない先進国はない。日本の戸籍は出生の記録が管理されていて云々と発言を見かけるが、それを管理していない国などない。戸籍が無くなると出生などの記録が失われるという人が大勢居るが、戸籍という管理方法を止めると言うことと、出生などの記録を捨てるということは次元の異なる話しだ。

日本では出生結婚死亡などの情報を管理するにあたって、世帯ごとに帳簿を管理している。これが日本の戸籍制度。実は世帯ごとに管理しているのは世界的にも珍しい。

個人毎の帳簿に管理しているのは韓国で2008年までは日本と同じく世帯ごとに管理していた。実は個人毎に管理している国は、戸籍制度よりも珍しい。

殆どの国は、出生記録簿、婚姻記録簿、死亡記録簿と、出来事毎にバラバラの帳簿で管理している。そのため情報を纏めるには各行政地区に管理している各種帳簿に横串を通すような調査が必要で大変であったらしい。

今はIT化が進んで居るので、情報を検索して集約するのは一瞬であり、どの管理方法をとっていたとしても本質的に違いは無い。

DV被害者の個人情報が漏洩してしまい被害に繋がるなど、日本の戸籍制度に欠点があるかのような発言が多い。だから戸籍は廃止すべきと言うのだ。

上記の問題の本質は戸籍制度では無く行政手続きにある。日本の役所の本人確認とか個人情報保護が性善説に頼っていてザルなのだ。委任状一枚用意すれば簡単に行政手続きを代行できてしまうし、委任状の真贋を確認するなんて事も無い。

住所を非公開にする手続きは煩雑だし、間違えて公開してしまったなんて話もある。それも特定の加害者からの申請時に非公開にする手続きに過ぎない。身分を偽ったり、第三者を経由すると公開できてしまう場合がある。委任状の偽造や身分の偽称は後に私文書偽造罪に問われるかもしれないが、起訴率は45%程度でしか無く、仮に起訴されても執行猶予付きで終わる程度の微罪でしかない。

もし改める必要があるのだとしたら、行政手続きの方だ。マイナンバーカードなど身分偽称が不可能にちかい手段で身分確認し、本人以外なら本人に電話なり郵送なりで確認を取らない限り発行しないのを標準対応にする程度の事が必要だと思う。