TV用の同軸ケーブルを使用してネットワークを接続する

築15年程度の一戸建てに暮らしていますが、LANの配線はおろか、電源関係も配管を通してあるわけではないので、後からLANを引くことが困難。1Fと2FにあるTVでひかりTVを視聴するためWiFiで接続を試みたのですが、一応は写るが時折ブロックノイズが走る。そこで有線接続する方法を検討した。どうやらTV用の同軸ケーブルを使って接続する方法があるらしい。

国内ではTLCモデムという名称で販売されており、殆どの製品は最大でも100Mbps、実効速度は数十Mbps。4K映像を視聴するための必要な帯域幅が30Mbpsと考えると心許ない。DXアンテナがリンク速度1Gbpsまで対応する製品を販売しているが、それでも実効速度は300Mbpsに過ぎない。せっかく数万円をかけるなら、他の機器も有線にして安定化したいじゃないか。

海外だとPLCモデムはリンク速度2Gbps、実効速度は1Gpbs近い製品もあるのだが、いかんせん日本では動作しない(アース線も使って通信をするため)ので、結局のところ600Mbps程度にしかならない。しかも違法だ。

検索する事、数十分。MoCa(Multimedia over Coax Alliance)規格のTV用の同軸ケーブルを使ったLANにたどり着く。現在売られているMoCa 2.5対応の機器を使えばリンク速度2.5Gbps以上、実効速度は1Gbpsで接続する事が出来るという。国内メーカーはない。同軸ケーブルを使うので、PLCのように漏洩電波が問題になることもなく、法的な制約に引っかかる心配も無い。

というわけで早速個人輸入。国内にも販売する業者が居るが、国内サポートがあるわけでもない。米Amazonで買ってきた方が送料込みでも安い。

届いたのはこんなの。

電源、アンテナ線を接続する端子、LANを接続する端子、LED(電源、アンテナ線、LAN線)があるだけのシンプルな代物。図の通りに繋いでしばらく待つと、アンテナ線のLEDが点灯してリンクした。シンプルだ。

だが一応は暗号キーの設定ぐらいはした方が良いらしい。設定はWEBブラウザから行う。出荷時に固定のIPアドレスが振られているので、パソコンのローカルアドレスを固定で設定し、工場出荷時の初期パスワードでログインする。

二台とも同じ初期IPアドレスが振られている。アンテナ線でリンクアップしているとIPが重複してまともに設定出来ないので、1台づつ電源を入れて設定を行う。

暗号鍵は三箇所に設定する。適当に12~17桁の数値を入れる。ついでにIPアドレスもDHCPに変えてやる。これで全ての設定は完了。

検案だったひかりTVの状態もバッチリである。ついでに1Fの無線APにも有線で繋げてやると、1FでWiFiを使ったときの速度も大幅にアップした。

ステータス画面を見ると3.2Gbpsでリンクアップしている。なるほど、そういえばカタログには2.5Gbps以上と書いてあったなぁと。LAN端子が1Gbpsだから実行速度が1Gbpsを超える事は無いが、だいぶ余裕があるようである。速度が2Gbpsに落ちる分、ちょっとだけ安くなるMoCa 2.0機器でも十分だったかもしれない。

MoCa2.5の子機は最大で16台まで増やすことが出来る。私が住んでいる家は、各部屋にアンテナ線が来ているので、書斎にも子機を増やすと良さそうである。

ひとつだけ注意事項がある。使用している周波数がBS/CS放送と被っているのだ。同じ同軸ケーブルにBS/CS放送の信号も流している場合にはMoCa2.5を使えない。その場合は国内のTLCモデム製品を選択するしかない。

・・・と言う訳でアンテナ線は来ているが、LANを引くのは難しいというお宅には、MoCa 2.5がおすすめである。

「TV用の同軸ケーブルを使用してネットワークを接続する」への1件のフィードバック

  1. こんな製品有るんですね。
    国内のTLC製品は教育機関に導入しようとして検討した事が有りました。
    (結局は保守費用や帯域拡張したい場合に柔軟性が無いので却下しましたが)

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