クラウドってよくわかないんだけど・・・と言う話を聞いたので

クラウドって何か・・・クラウドって言葉の意味は使っている人ごとに違うので、そりゃ分からないです。
歴史的背景や技術的な遷移、業界事情などを把握して、クラウドなんて表現には惑わされないようになりましょう。

パソコン仮想化(2000~2004年)
クラウドの先駆けとなる技術として、仮想PC技術が広がりを見せます。VMWare WorkstationやVirtual PCなど既存のパソコン上で、パソコンのハードウェアをエミュレーションして、複数のOSを実用的に動作させる事が可能になってきました。この時点で飛びついたのは主にソフトウェア開発者などのエンジニアです。ファイルをコピーする事で他のハードウェア上に移動させたり、保存しておいたり、数時間前の状態に戻したりといった事が容易に実現できるようになりました。これ以前はテストのために何度もOSの再インストールを余儀なくされていたのです。

最初期のクラウド誕生(2003年)
2003年の終わりごろ、クリス・ピンカムとベンジャミン・ブラックはアマゾンのサーバーインフラの将来の展望についての論文を発表した。その論文では新たなサーバーインフラは完全に標準化、自動化され、ストレージやネットワークは最終的にはウェブサービスに依存することになると書かれている。またその論文の終わりでは、企業が新たなインフラ投資として仮想上のサーバーサービスが今後普及する可能性を言及されている。
2004年には極めて限定的な機能ですがAmazon Web Servicesがサービスを開始します。

サーバー仮想化(2004年~2005年)
ハードウェアレベルで仮想化をサポートするための仕組みが提供されるようになり、サーバーにも仮想化が用いられるようになります。VirtualPCを買収したMicrosoftによるVirtual Server、VMWareのVMware ESX、LinuxのXen等がでそろいます。サーバーが稼働しているときCPUは暇をしているので、仮想化を利用してサーバーを集約すればハードウェアコストを抑えられる他、サーバーの異動や再構築がファイルの複製で住むので可用性も向上し運用も楽になりました。

ですが同時に新たな問題が生まれます。規模が小さいうちはエンジニアが手作業で管理していても負荷を一様に分散させたり、負荷の低い物理サーバーを把握したり、またそれに合わせて最適化したりと言った設定を行えます。組み合わせの数は物理サーバーの台数× 物理ストレージの台数×・・・×仮想サーバーの数となるため、規模が大きくなるにつれて、人手ででの管理は到底困難な物になると考えられました。大規模システムを運用するベンダー内部で、これらの管理を自動化する方法(クラウドコンピューティング)が求められるようになります。

HaaS、PaaS、IaaSといったクラウドファームの提供開始(2006年~2010年)
「cloud computing クラウドコンピューティング」という用語の使用は、2006年のGoogleのCEOであるエリック・シュミットが使います。Google App Engine(SaaS) とか、Amazon EC2(HaaS)、Windows Azure(SaaS)と言ったクラウドサービスが出そろいます。

何でもクラウドの時代へ(2010年~2014年)
クラウドコンピューティングが成功を収めたことで、単なる仮想サーバーを提供しているサービスまでクラウド(なんちゃってクラウドと揶揄されたりする)を名乗ります。果てにはインターネットを使ったサービスであれば何にでもクラウドと付けるようになります。結果的にクラウドという用語の意味が曖昧になり、何を指しているのか分からなくなっていきます。クラウドのバズワード化です。

いまでこそ沈静化しましたが、バズワード化した影響で、人によってクラウドの意味が違ってしまっています。PaaSとかSaaS、IaaSといった用語で表現する方が、誤解無く伝わります。相手がクラウド云々言い出したら、何をさしてクラウドと言っているのかまずは確かめましょう。

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