テレワーク実施率5.6%は本当に少ないのか

テレワーク実施率5.6%のニュースをみて、余り物少なさに驚くような論調の記事が散見されるが本当に少ないのだろうか?「少ない」というからには何かに比較して少ないと言うのだろうが、その何かを明確にして論じている人は殆どいない。比較対照を持たずに「少ない」と論ずるのは、単なる主観でしかないので気をつけよう。

テレワークを実現できるか否かは職種によって大きく異なる。職種別労働人口に関する資料は無いかと検索したところ独立法人 労働政策研究・研修機構の2019年度職業別就業者数が見つかった。

上記資料では事務従事者、専門的・技術的従事者、生産工程従事者、販売従事者、サービス職業従事者、運搬・清掃・包装等従事者、建設採掘従事者、輸送・機械運転従事者、農林漁業従事者、保安職業従事者、管理的職業従事者、分類不能の12に分類して集計している。このうちテレワークが出来そうな職業は事務従事者(19.6%)、専門的・技術的従事者(17.5%)、管理的職業従事者(1.9%)程度しか見当たらない。これら3職業の合計で全体の39%ですかない。この専門的・技術的従事者には情報産業以外も含まれているはずだ。

検索したところ社会実績データ図録の技術者数の推移が見つかった。2015年時点で情報通信作業に従事する技術者は、技術者全体の42%となる。

テレワークできる職業に従事しているのは、ここまでの数字から最大に見積もっても29.4%でしかない。情報通信作業のうちインフラ系に属する人はテレワークでは対処できないので、実際にはもっと少ないはずだ。

詰まるところテレワーク実施率5.6%と言うが、テレワーク可能な業種で就労する人の19.0%以上はテレワークに移行していると推測できる。これが多いか少ないかは論じない。だが予想外に小さいと思うような数字ではないと思う。

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