Andoroid版 COCOAの修正版リリースや、AWSの障害により気象庁のWEBが停止したニュースを受けて、政府のIT関係の調達について再び議論が起こっている。
COCOAではリリース以降、管理責任が曖昧のまま致命的な不具合が指摘されていたにもかかわらず数ヶ月にわたって放置されていた事が問題となった。他にもiOS版で接触履歴が初期化されるなど致命的な不具合が残っている。
AWS等のクラウドを使うのは、良い試みだと思う。ただし、実態として何処のクラウドサービスでも数年に毎に大規模な障害が起こっている。細かな障害に至っては日常茶飯事に発生する。クラウドだから可用性(信頼性)が高まるという訳ではない。したがってライフラインに直結するようなサービスをクラウドの載せるなら、一部のデータセンターが停止しうることを前提に冗長化しておくのが当然で、それを怠っていたのなら重大な問題だろう。
そもそも民生用のAWSで動かしていたのも如何なものか。例えば米国政府もAWSを積極的に利用している。AWS GovCloudとして提供されているそれは、FedRAMP等の米国政府の要求するセキュリティ要件を満たす。Amazonは従業員のバックグランドチェックを行い、米国市民以外が運用に関わらない体制を取り、民生用とは切り離された独立したデータセンターで運用されている。日本政府もAWSのクラウドを導入する事が決まっているが、はたして何処まで要件を纏めているのだろう?
結局の所はcocoaの不具合と同じ問題に行き着くのかもしれない。厚労省に限らず、発注元である政府に、情報システムの開発・運用要件を纏めてる能力が無くなっている事の証左に見える。
新たに組織されようとしているデジタル庁には大きく期待しているのだが、結局の所、以下のような問題の本質に行き着くのではないかと思う。
- 現在の賃金・雇用体制では専門家を雇用するにも十分な賃金や地位を出せない。
- 政府内において専門家を育成する事も出来ていない。
18日に河野太郎規制改革相が公務員の残業代を全額支給すると共に、労働実態を把握するように指示をしている。この事が公務員の人事制度改革に繋がることを期待してやまない。
IT media:AWS障害、5時間でほぼ復旧 気象庁Webサイトなどに影響
CNET Japan:通知の不具合を解消、1日1回程度アプリ再起動を推奨–接触確認アプリ「COCOA」修正版
東京新聞:COCOA開発受注企業が事業費94%を3社に再委託、さらに2社に…不具合の原因企業「分からない」