PaaSの請求額に愕然とした経験

たった1日の利用で750万円をGoogleから請求された企業

上記リンク先の企業は750万円の請求を受けたようだが、私自身も似た良いな経験はある。個人的に勉強がてらMicrosoftのAzule MLで遊んでいた。無料枠でリミットがかかるつもりで居たが、突き抜けて十数万円の請求金額が表示されていたのだ。あわててMicrosoftのサポート窓口に連絡して、請求を取り下げていただき事なきを得た。

IaaSやPaaSの使い方を試しながら学習する上で、この手のリスクは常に発生し、避けようがない。実験的に動かす場合にも、本番環境と同様に従量課金で料金が発生する。最初から完璧に習熟していて、絶対に間違えない人など居ない。いくら気をつけていたところで、見落としや設定ミスによる重課金が発生するリスクは常にあるのだ。

うっかり数百万円溶かしても「あほぅ」の一言で済ませてくれる組織でもない限り、実のところエンジニアは業務でPaaSを安心して使えない。「この機能を使えばこんなことが出来るはず・・・」と知識で知っていても、ミスを許容してくれる組織でない限り怖くて新しいことにチャレンジ出来なくなる。

クラウドへの移行を考えている・・あるいは既に実施している企業の役員の方には、この事を知っていて欲しいのだ。

ちなみに、色々と検索した限りでは、速やかに連絡すれば請求を取り下げてくれる事が少なくないようである。

テレワーク税制が必要だよね

テレワーク手当に新たな問題、JISAは「税金取らないで」と要望

通勤手当が課税取得とならないように求めているらしい。実際に問題となり得るのはそれだけでは済まないので、テレワークを想定した税制改革を早急に進めて欲しい。

テレワークに伴う税制上、法律上の問題には以下のようなものがある。

・標準報酬月額が減る。
年金や産休手当、療養手当などの算出につかわれる標準報酬月額は通勤手当を含む賃金で算出される。したがって通勤手当が減れば、負担額も減るし、給付額も減る事になる。必ずしも損をするわけでは無いが、人生設計への影響は大きい。

・在宅勤務にかかる経費の控除が認められていない。
自宅の労働環境整備に伴う費用負担は本来ならば経費として控除される。自営業者なら家賃や光熱費を事業経費と生活費とに按分して経費控除することが行われている。給与所得者の場合には特定支出控除として通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、図書費、衣服費、交際費について条件を満たした場合に認められている。実勢に家賃や光熱費、通信費を按分して計上したなら、在宅勤務のために年間数十万の経費負担が発生しているはずだが、これらを控除することは認められていない。

・労働環境の整備にかかる経費
労働安全衛生法上、労働環境の整備は事業者の義務となる。PCで作業するにしても作業環境を整える義務が事業者側にあるのだが、では家庭の労働環境の整備の支出を経費控除出来るかというとできず、従業員への給与となってしまう。

・償却資産税の申告先
償却資産税は地方税となっており本来であれば設置場所の自治体(市区町村)に申告する。もし機材が従業員の自宅に設置されているなら、本来ならば従業員の自宅を設置場所として償却資産税の申告を行う必要がある。経理担当者に取っては結構な手間のはずだ。

マイナンバーカードをやめるべき?

暴論のようで一理ある。

今のシステムは希望者のみ数千万人に配布し、希望者のみが活用する事を前提に作られている。人口のほぼ全て1億2千万人に配布して、様々な手続きに活用し、その他の公的証明書類の機能を統合しようとするなら、そこに求められる要件は大幅に異なるものになる。発行時には運転免許証や健康保険証に頼らずに本人確認を行う事を求められるし、再発行に一ヶ月もかかっていては許されないし、様々な場所に端末を置くなら閲覧者の認可システムも見直しだ。

「マイナンバーカードをやめるべきだ」、サイボウズ青野社長がデジタル庁に直言

運転免許証と健康保険証のマイナンバーカードに統合には再発行手続きが問題

運転免許証とマイナンバーカード 早ければ2026年一本化の方針

運転免許証と健康保険証がマイナンバーカードに統合されることになりそうなので思考実験などして遊んでいた。マイナンバーカードの再発行手続きが一番の問題になりそうに思う。

再発行にかかる時間

運転免許証の再発行は各都道府県の免許センターに行けば即日再発行できる。仮に警察署で手続きしたとしても7~14日程度で再発行できる。

健康保険証や国民健康保険証の再発行は郵送による手続きで7~10営業日かかる。「健康保険被保険者資格証明書」の発行なら窓口にいけば即日、郵送でも3営業日程度で発行できる。急を要する場合には「健康保険証」と「健康保険被保険者資格証明書」の両方の再発行手続きを行えば良い。

現状のマイナンバーカードの再発行は1ヵ月ほどかかる。マイナンバーカードの現行の利用目的を考えた場合、カードが無かったとしても窓口で直接手続きするなり、マイナンバーカードにかわる本人確認書類として自動車運転免許証を使えば特に問題は無い。だからこそ再発行に1ヵ月を要しても容認できる。

マイナンバーカードを運転免許証や健康保険証と統合するのであれば理想は即日再発行する。即日が無理としても7営業日程度に短縮して、即日に仮マイナンバーカードを発行するといった対応が必要になるだろう。発行にかかる期間を1/30とか1/4にするのは業務フローの大幅な見直しが必須となるので中々にハードルが高い。

再発行にともなう本人確認

運転免許証の再発行時に必要とする本人確認書類は、マイナンバーカード、健康保険証、パスポート、官公庁が発行した郵便物等。

国民健康保険の再発行時に必要とする本人確認書類は、運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等の写真付きの本人確認書類。写真付きの本人確認書類が無い場合には自宅へ郵送することで本人確認。

マイナンバーカードの再発行に必要とする本人確認書類は多岐に渡るが主だったところは、パスポート、運転免許証、写真付きの公的書類がない場合には郵送物など複数の書類で本人を確認したあと、郵送で交付することで本人を確認。

殆どの場合は自動車運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証、パスポートの何れかを本人確認のために求められる。自動車運転免許証と健康保険証をマイナンバーカードに統合した場合、再発行をしようにも容易には窓口での本人確認を行えなくなる。顔写真のある本人確認書類が無い状態で本人確認をするには、地方公共団体情報システム機構のデータベースに指紋や虹彩といった生態情報を保存するしかないように思う。これも政治的に中々ハードルが高そうだ。

便利になるのは良いことなので、是非とも頑張って貰いたい。

間違っても・・・紛失時に備えてパスポートを所有、紛失時には役所でマイナンバーカードの再発行手続きをして、免許センターで自動車運転資格証明書の交付をうけ、健康保険事務所で健康保険被保険者資格証明書の交付を受け、マイナンバーカードが届いたら警察署と健康保険事務所に更新手続きをする・・・なんて、間抜けな事になりませんように。

テレワーク実施率5.6%は本当に少ないのか

テレワーク実施率5.6%のニュースをみて、余り物少なさに驚くような論調の記事が散見されるが本当に少ないのだろうか?「少ない」というからには何かに比較して少ないと言うのだろうが、その何かを明確にして論じている人は殆どいない。比較対照を持たずに「少ない」と論ずるのは、単なる主観でしかないので気をつけよう。

テレワークを実現できるか否かは職種によって大きく異なる。職種別労働人口に関する資料は無いかと検索したところ独立法人 労働政策研究・研修機構の2019年度職業別就業者数が見つかった。

上記資料では事務従事者、専門的・技術的従事者、生産工程従事者、販売従事者、サービス職業従事者、運搬・清掃・包装等従事者、建設採掘従事者、輸送・機械運転従事者、農林漁業従事者、保安職業従事者、管理的職業従事者、分類不能の12に分類して集計している。このうちテレワークが出来そうな職業は事務従事者(19.6%)、専門的・技術的従事者(17.5%)、管理的職業従事者(1.9%)程度しか見当たらない。これら3職業の合計で全体の39%ですかない。この専門的・技術的従事者には情報産業以外も含まれているはずだ。

検索したところ社会実績データ図録の技術者数の推移が見つかった。2015年時点で情報通信作業に従事する技術者は、技術者全体の42%となる。

テレワークできる職業に従事しているのは、ここまでの数字から最大に見積もっても29.4%でしかない。情報通信作業のうちインフラ系に属する人はテレワークでは対処できないので、実際にはもっと少ないはずだ。

詰まるところテレワーク実施率5.6%と言うが、テレワーク可能な業種で就労する人の19.0%以上はテレワークに移行していると推測できる。これが多いか少ないかは論じない。だが予想外に小さいと思うような数字ではないと思う。

アパレル系は休業するか考え直して!

非常事態宣言を受けてアパレル系が休業を決めているようだが、ちょっと考え直して欲しい。衣類は”衣食住”の一角を占める重要な生活消耗品です。せめて下着や子供服売場は開けてください。

入院するとなれば下着やパジャマ、タオルを買い足さざる得ないときもある。
子供服なんて去年の着れないと言うこともある。
乳児が生まれるれば産着を揃える必要もある。
しかも今は季節の変わり目。

各事業者には、自社の提供するサービスの社会的意義をしっかり振り返って、休業するべきか否か判断して欲しいです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57805630Y0A400C2000000/

経済対策で消費税減税とかあり得ないよと言う話し

消費税現在が叫ばれているが、消費税を勘違いしている人が存外多いので、簡単に纏めておく。

消費税に良くある誤解

企業は消費税をほとんど負担していない

企業も物を仕入れたり、経費をつかったりすると、消費税を支払います。例えば900万円で仕入れたなら、消費税90万円を含む990万円を支払うこととなる。この時の消費税90万円を、経理上は仮払消費税として別途集計しておきます。

逆に企業が物を売ったりすると、消費税を受け取ります。例えば1000万円の売上なら、消費税100万円を加えて、1100万円を受け取る。この時の消費税100万円を、経理上は仮受消費税として別途集計しておきます。

そして決算時に仮受消費税の合計額から、仮払消費税の合計額を引いた、残りを消費税額を消費税納税額として申告します。つまり仮払消費税が90万円、仮受け消費税が100万円なら、納税する消費税は10万円です。この納税する分の10万円は一括で支払う訳では無く、翌年に月々分割で納税していうことになります。

このように消費税は最終消費者が10%の消費税を負担する仕組みになっています。企業は経費として一旦は仮払消費税を払いますが、最後はお客様から頂いた仮受消費税と相殺します。したがって企業側は消費税負が殆ど無い(交際費など一部の経費は消費税を負担している)のです。

取引の度に消費税が積み上がるので、最終消費者の実質負担は10%ではなく数十%になる・・・と言う誤解を時折見かけます。そんな事は無いのです。

税率が変わった後も旧税率での売上や支払が起こる

税率の変更日以降の取引において消費税率が変わります。逆に言えば、変更日以前に1年単位あるいはもっと長期にわたる契約を取り交わしていた場合には、変更日以後も旧税率での取引が発生します。良くあるのは年単位の保守契約や賃借契約で代金を前払いしている場合です。長い場合には10年以上にわたって旧税率での取引が残ることもあります。(※実際には様々な特例規定が設けられてます。)

そのため企業の情報システムは税率変更後も旧税率の取引を、今後何年間にもわたって取り扱えなくてはなりません。場合によっては旧々税率の取引も扱う必要があります。だからこそ多大なシステム改修が発生するのです。

レジの消費税率変更はマニュアルを見れば誰でも簡単にできる・・・と言われる方がいますが、レジの消費税率設定は、消費税にかかわるシステムの一部に過ぎないのです。

税率変更に伴う価格改定作業は意外と時間がかかる

国が総額表示(内税価格での表示)を義務づけています。そのために店頭の価格表示は原則として総額表示です。税率改定時には旧税率総額表示になっている価格を全て外税表示に差し替え、税率変更日以後に改めて新税率の総額表示に差し替えるという作業をおこなっています。

食品スーパーなどはオンラインで表示価格を変更できる電子棚札を用いていますが、それ以外の小売業は紙に印刷していることが殆どです。これらを全て差し替えるには、仕事の合間を縫いながら何週間もかけて実施しています。

消費税減税は増税よりも難しい

消費税減税の告知により買い控えが発生する

消費税率変更にはシステム改修を避けられません。そのため、消費税率を下げる場合でも数年前からの告知が必要不可欠です。数年後に消費税率が大幅に下がるとなれば、広範囲で買い控えが発生するのを避けられません。

地方税収入が減額される

消費税10%のうち、7.8%が国税、2.2%は地方税となっています。地方自治体の税収源は限られており、また国債の発行などにより赤字を埋め合わせるのかも難しいのです。予算的な埋め合わせを考えずに消費税減税だけを実施すれば、元々余裕のない地方自治体の財政が破綻する可能性もあります。

上記のことを踏まえると、仮に消費税減税を実施するにしても「20年計画で2年ごとに1%づつ下げる」ような非常にゆっくりとした減税にするほか無く、緊急の経済対策として機能しうる物では無いです。

もし経済対策として行える可能性があるとしたら、消費税率を一度にゼロまで下げる事です。殆どのシステムは非課税(税率ゼロ)の取引を扱うことが出来るはずです。したがって税率をゼロにするならシステム改修は数ヶ月で済むと思われます。ただし、その数ヶ月間は個人消費が恐ろしく落ち込むので、同時に相当の財政出動を行わないと、多くの企業が破綻するでしょうけど。

QNAP:他のNASから同期したフォルダに書込できない

HBS3 Hybrid Backup Syncの同期機能を使って既存のNAS(SMB)からQNAPにファイルをレプリケーションしておいてサーバーの移行を行い、いざ切替というところで共有フォルダ内にあるフォルダ以下に書き込むことが出来ないというトラブルが発生。共有フォルダのルートには書き込めるので、チェック時点では気がつかなかったのです。

Windows上からフォルダのプロパティを見るとAdministratorにのみ書込権限があり、Evryoneでは書き込めない状態になっています。

QNAP管理画面のFileStationからフォルダのプロパティを見ると所有者には書込権限はありますが、グループとパブリックには書込権限がありません。ここでグループとパブリックにも書込権限を付与すると、Windows上からファイルをコピーできるようになるので、これが原因のようです。

さて、困ったことにFileStationから複数のフォルダを選択して権限設定を書き換えることは出来ません。フォルダの数が多く、フォルダ毎に手作業で行うとなると、相応に時間がかかります。

ふと、QNAPのNASはsshで接続出来ることを思い出しました。コントロールパネルの「ネットワークサービスとファイルサービス」から「Telnet/SSH」を選択して「SSH接続を許可する」にチェックを付けます。

QNAPの共有フォルダは/share以下に作成されます。以下のコマンドを実行して全てのユーザーに書込権限を付与します。

chmod -R a+rw /share/Public

NASにSSHで入れると便利だね。

ちなみに環境は以下の通り。
QNAP TS-351
Firmware Version 4.4.1
HBS3 version 3.0.191202

素朴な疑問なんだが、みんなメールサーバはどうしているのだろう?

素朴な疑問なんだが、みんなメールサーバはどうしているのだろう?

メールアカウントのパスワード漏洩などといったインシデントに備えるなら、認証ログの監査は絶対に必要になると思うのだが、認証回りのログを提供してくれるインターネットメール運用サービスが見当たらない。SMTPは無くもないけど、POP/IMAPの認証ログを公開してくれるところが本当に見当たらない。国内向けサービスだとカゴヤジャパンとGMail、Office365ぐらいしか見つけられないんだけど、みんなどうしているの?

実はみんなGMailやOffice365に移行済みだったりする?
実はカゴヤジャパンは隠れた独占企業だったりする?
実はメールサーバぐらい自前で完璧に運用できて当然だったりする?
実は何処の会社もPOP/IMAPは塞いでてWEBメール以外使っていなかったり・・・いやいや、POP/IMAP無効なんてオプションサービスも、殆ど見かけないぞ。

TP-LinkのWiFi機器を使ってみた覚え書き

比較的安くて、法人向けの機能があって、障害発生時にも強そうなメッシュネットワーク対応のWiFi機器、TP-LinkのAC1200 MU-MIMO( EAP225-Outdoor )とか使ってみたので、これから買おうとする人のために覚え書き。

Omada Controler サーバー

メッシュネットワークを使うには Omada Controler をインストールしたサーバーを用意するか、 Omadaクラウドコントローラー (OC200 )を用意する必要がある。アクセスポイント単体ではメッシュネットーワーク機能を利用できない。(ただのアクセスポイントとして使う事は出来る)

TP-LinkのホームページからOmada Controlerが提供されており、これをWindowsかLinux(Ubuntu)にインストールすると、Omadaクラウドコントローラ相当の機能を使える。 OC200 はサーバーを設置できない場合の代替手段として 提供されているものなので、サーバーを用意できるならOC200を購入する必要はない。

Omada Controler は同一サブネット内に存在するOmada対応WiFi機器を自動的に検出してくれる。逆に言うとサブネットの外、ルーターを超えた場所にあるアクセスポイントは検出してくれない。ルーター超えて複数のサブネット内に存在するWiFi機器を検出するにはEAP Discovery Toolをインストールしたサーバー/パソコンを、それぞれのサブネット内に配置しておく必要がある。

わたしはUbuntu 18.04 LTS上にOmada Controlerをインストールしたが特筆することは何もない。導入自体は非常に単純で特筆すべき事が無い。sudo gdebiコマンドでダウンロードしたdebファイルからインストールした。デーモンとしては常駐しないのでログイン後にsudo /usr/bin/tpeap startとして起動する必要がある。

EAP225-Outdoor本体

EAP Discovery Toolを使ってIPアドレスを特定した後、アクセスポイントのWEB画面からログインして設定変更等を行う事も出来るが、 Omada Controlerを使うのであれば特に設定は必要ない。・・・と言うのもOmada Controler の制御下に入った時点で、パスワード以外はIPアドレスも含めて初期設定に戻ってしまうのだ。パスワード変更も含めた全ての設定はOmada Controler を経由して行う事になる。

あとはOmada ControlerのWEB画面から設定を行うだけである。独特の用語には全てToolTipで説明が表示されるので、本当に迷うことなく設定出来る。よく出来ている。

台湾製品だと電源周りが不安になるかと思うが、潔いというか電源はPoEのみとなっている。PoEから電源供給するためのACアダプタも同梱されているが、問題が起こったらサードパーティーのPoEユニットを使うという手もあるので、むしろ安心できる。